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2022.07.12
中銀カプセルマンシオン
これが正式名称らしい。
今年の4月から解体工事が始まっているので写真は昨年の今頃に行われた内覧会のものです。
この建築は黒川紀章さんが提唱されていたメタボリズムの概念に沿って設計されたもので、部屋ごとに交換ができる仕様になっていましたが一度も交換されないままに解体となったのはよく知られた話です。
昭和40年代の竣工当時に発刊されたパンフレットによると、このマンシオンは「24時間都市で働くエリートビジネスマンのための自分らしい個人の空間を確保するための場」、「自分を取り戻すための休憩の場」、そして「自分らしい思想を築くための情報拠点」となることを目的として計画されたと書かれています。
昭和40年代は郊外にベッドタウンが次々に生まれ、1時間30分をかけて仕事場へ向かうのが当たり前となっていた時代だったそうですが一部の”エリートサラリーマン”のためのサードプレイスとして需要があったのでしょう。
長時間掛けて都心へ向かう構造は今も変わらないんだなと少し愕然としますが、そのデザインからは当時の人々の未来に対する熱量を想像させるのに難くはありません。
ナガオカケンメイさんが提唱するロングライフデザインという観点からいえば、懐古的な視点が介入する点でその枠組から外れるのでしょうがやはりこういうデザインは心が躍る感覚があります。
その理由は志向の違いを認めつつも、イマジネーションに制限を掛けずに多くの挑戦を許容する部分があったからでしょうか。
まずもって部屋を交換できる構造といってもかなり大掛かりな事になるからきっとしないだろうと思うし、丸窓のリーフシャッターもメンテナンスを考えるとこういうデザインじゃないほうがいいのになと思う。TVモニターも次々に新しい製品が生まれる時代にビルトインにした時点で付け替えができないのは想像できる。
でもこのデザインだからこそ、この建築の匂いを決定づけている部分があるのは間違いない。
この匂いはこの時代を象徴する匂いと言っても過言ではないように思います。
ソニーの一連のプロダクトデザインも強烈なかっこよさを感じます。
思えばこの時代の映画やデザインにはそれまでを塗り替えるエポックメイキングといえる作品が多い。
まだ見ぬ未来に対する憧れから生まれるイマジネーションを現実的ではないという理由から中止していては今世の優れたデザインもそれに取り組む多いなる熱量も生まれてはいなかったでしょう。
その憧れが次の新しいデザインの萌芽を作り出す栄養になるのだと思います。
嘲笑されても気にせずに進む。少しバカげたぐらいが丁度いい。
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